グローバルECサイトを支える!AWSを活用した堅牢なインフラ構成徹底解説

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 最近、AWSを色々触ったため、AWSで構築したグローバルECサイトのインフラストラクチャ構成図を作成してみました。その設計思想と採用技術について詳しく解説します。

 グローバル展開において、高性能、高信頼性、高セキュリティ、そしてグローバル展開の容易さは欠かせません。この構成図は、これらの要件をAWSのサービスでどのように実現したかを示しています。

1.グローバル展開とマルチリージョン戦略

 ECサイトは、ユーザーへの低遅延災害対策を考慮し、AWSのマルチリージョン構成を採用しています。

  • メインリージョン(ap-northeast-1:東京): 主要なアプリケーションとデータベースを配置します。
  • DR/バックアップリージョン(us-east-1:バージニア北部): 災害時やリージョン障害時に備え、主要リソースのバックアップや一部サービスを配置し、事業継続性(BCP)を確保します。

セキュリティと冗長性を高めるネットワーク設計

VPCとサブネット

 すべてのサーバ、DBはVPC (Virtual Private Cloud)内に構築されています。

  • Public subnet: インターネットから直接アクセスされるリソース(ALB (Application Load Balancer)NAT Gatewayなど)を配置します。
  • Private subnet: アプリケーションサーバーやデータベースなど、外部からの直接アクセスを避けるべき重要なリソースを配置し、セキュリティを強化しています。
可用性ゾーン(AZ)の活用

 主要なサービスは、リージョン内の複数のAvailability Zone (AZ)(例: ap-northeast-1aap-northeast-1d)にまたがって分散配置されています。これにより、単一のデータセンター障害に備えた高冗長性を実現しています。

エッジとルーティング

CloudFront: AWSのエッジロケーションを活用したCDN (Content Delivery Network)です。静的コンテンツのキャッシュや、エッジでのWAF適用により、高速なコンテンツ配信とDDoS対策を提供します。

Route 53: DNSサービスとして機能し、ユーザーを最も近い(または最適な)リージョンへルーティングするなど、サイトへのアクセスを制御します。

3.アプリケーション基盤とスケーラビリティ

 ECサイトは、トラフィックの変動が激しいため、スケーラブル耐障害性の高い設計が求められます。

  • ALB (Application Load Balancer): ユーザーからのトラフィックを自動的に複数のアプリケーションサーバーに分散します。
  • Auto Scaling Group (ASG): 負荷に応じてサーバ台数自動で増減させます。これにより、トラフィック急増時でも安定したサービス提供が可能です。
  • SQS (Simple Queue Service): 注文処理やメール送信など、時間のかかる非同期処理をキューイングします。これにより、Webサーバーの負荷を軽減し、ユーザー体験を向上させます。
  • Elasticache for Redis: インメモリデータストアとしてセッション情報や頻繁にアクセスされるデータをキャッシュし、アプリケーションの応答速度を大幅に改善します。
  • FSx (ファイルサーバー): ファイルシステムが必要な処理やメディアファイルを格納します。

4.データ永続性とデータベース

 ECサイトのコアであるデータは、用途と特性に合わせて複数のデータベースを使い分けています。

  • RDS Proxy + RDS : 注文情報、ユーザー情報など、トランザクションが重要で構造化されたデータを管理します。RDS Proxyを経由することで、接続プーリングによるパフォーマンス向上やアプリケーションの変更なしにフェイルオーバーを実現します。
  • DynamoDB: カート情報、セッション、ログなど、高速な読み書き柔軟なスケーラビリティが求められるNoSQLデータを管理します。

5.CI/CDと運用・監視・セキュリティ

CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デプロイ)

 開発の効率化と品質確保のため、自動化されたCI/CDパイプラインを構築しています。

  • GitLab: ソースコードの管理を行います。
  • CodePipeline: ビルド、テスト、デプロイのプロセスを統合し、自動化します。
  • CodeBuild: ソースコードのビルドとテストを実行します。
  • CodeDeploy: アプリケーションをEC2などのコンピューティングサービスへ安全にデプロイします。
  • ECR (Elastic Container Registry): コンテナイメージを格納します。
監視・通知

CloudWatch: リソースのパフォーマンスメトリクスやアプリケーションログを収集・分析し、システムの健全性を監視します。

SNS (Simple Notification Service): アラート発生時に、運用保守チームへ通知を行います。

セキュリティ

 AWSの各種サービスを組み合わせ、多層防御を実現しています。

  • IAM (Identity and Access Management): AWSリソースへのアクセス権限を管理します。
  • CloudTrail: AWSアカウント内のAPI操作をログに記録し、監査証跡を提供します。
  • GuardDuty: 悪意のあるアクティビティや不正な動作を継続的に監視し、脅威を検出します。
  • Config: AWSリソースの設定履歴を記録し、設定のコンプライアンスを評価します。
  • Security Hub: セキュリティチェックの結果を一元的に集約し、セキュリティ体制を可視化します。

まとめ

 この構成図は、Web サイトアーキテクチャの進化の最終形態に基づいて設計されています。

 特にECサイトでは、お客様の信頼を損なわないよう高信頼性高性能が最重要です。AWSのマネージドサービスを適切に組み合わせることで、グローバルなトラフィックにも耐えうる、スケーラブルでセキュアなインフラを実現しました。

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